「マテリアルフローコスト会計」に関する研究

マテリアルフローコスト会計 (Material Flow Cost Accounting; MFCA) とは、生産工程で生じる資源やエネルギーのロスに着目した環境管理会計の手法です。

原価計算システムにマテリアルの重量情報や温室効果ガス等の排出情報を統合することで、
そのロスに投入した材料費、加工費、設備償却費などを 「負の製品のコスト」として、総合的にコストを評価します。

例えば、
原料と加工の費用の80%が正の製品、20%が負の製品になる製造システムを仮定すると
(原料費を100円、加工費を100円、廃棄処理費を20円とします)

MFCA理論を適応しない場合
すべてのコストが正の製品コストに計上されてしまうため、
 正の製品コストは 100+100 = 200円
 負の製品コストは 20円 (全費用の 9% に相当)
ですが、

MFCA理論を適応する場合
生産工程で生じるロスも負の製品コストとしてカウントするため、
 正の製品コストは (100+100)×80% = 160円
 負の製品コストは (100+100)×20% + 20 = 60円 (全費用の 27% に相当)
となります。

MFCA理論では、
  • これまで見過ごしていた廃棄物の経済的価値および環境負荷の大きさを可視化でき、
  • 「負の製品コスト」および「環境コスト」の見直しが可能であることから、
  • 社内的にはコストダウンを達成すると同時に、
  • 対外的には企業の社会的責任に寄与します。

また、その廃棄物削減と生産性向上を同時に実現する
「環境と経済の両立」を果たす点が大きな特徴であり、優れた環境経営の手法のひとつとされています。